街並と天空   

『夢と夢をつなぐこと・・・』

それが私達のモットーです。
トータルプラン長山の仲介


“隠れた瑕疵”についての話

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   (・・・ここから別ページQ&A集と同じです・・・が、ここにある記事は、“旧民法でのお話”となりました。・・・約120年ぶりの法改正が為された現行法では、大きく発想の転換が行なわれており、実際の取引上における取扱いにも影響が伴なうものと推測されます。但し、不動産の取引上で、実際に焦点が当てられる問題そのものは、やはり・・・いわゆる「欠陥」や「機能不足」などの事柄を取扱うこととなりますので、『皆様の参考になれば・・・』と考えまして、当サイト上に“備忘録”や“参考資料”として、当面の間そのまま残しておきます。・・・)
   ・・・そもそも“瑕疵”とは、簡単に云うと“欠陥やキズ”の事です。
   不動産取引上はあくまでも、売主の売却行為と(媒介)仲介をする業者などの通常求められる、それぞれ管理者としての注意義務の範囲・程度を超えていて、不動産取引完了後にしか発見・判明できないような欠陥や現象を“隠れた瑕疵”として取扱うこととなります。よって、売主がその欠陥などを知っていたのに買主に伝えなかった(隠して売却した)というような場合や、売主自ら第三者のために設定や譲渡をした権利については、否応なく“隠れた瑕疵”として取扱われます。ですから逆に云うと、誰が見ても(通常の注意力によって)分かるキズや故障、性能劣化の類いなどの場合、それは“表われている欠陥や性能劣化がある”ということで、“隠れた瑕疵”として取扱わないという事です。

   では“売主の瑕疵担保責任”とは?ということになりますが、取引完了後において発見・判明した“隠れていた瑕疵”があった場合、売主が修復などの責任を負わなければならないという事です。・・・繰り返しとなりますが、取引上要求される性能や品質が欠けていることと、取引上要求される関係者の注意力をもってしても分からなかったというような場合を併せ持つケースに成り立つ事柄です。・・・実際に、この担保責任を売主様にご負担頂く場合は、その担保期間(売主への請求期間)を買主様への不動産引渡しから2~3ヶ月間程度とすることが多いようです。(売主が宅地建物取引業者である不動産物件の場合を除く)

   ・・・ですから“売主の瑕疵担保責任は免責”というのは、「この責任を負いません。」という売買契約書上の特約を、売主と買主の間で締結するという条件が付くという事です。・・・中古住宅での一例を挙げると、ほとんどの売主様は一般個人であり大工さんや建築などの専門家ではありませんので、床下や屋根裏などの隅々まで熟知している訳ではありません。売主ご本人が『知らない=分からない』欠陥等があった場合にその住宅売却後まで責任を負わなければならないという、ある意味過酷な状況になり得る問題を内包したまま売却したくないと考えられる売却希望者(売主が宅地建物取引業者である不動産物件の場合を除く)が用いる販売手法です。・・・実際にその多くは、築後年数がそれなりに経っている場合などに見受けられます。

   ・・・これらは基本的に、我々の暮らしを主に法律化した「民法」によって定義されているものです。これは不動産だけに限りません。どんな物品でも売買されるものほとんどです。・・・“ほとんど”というのは、たった1つ例外があるのです。それは競売です。しかも強制競売の場合です。国(司法)による強制競売の場合は、不動産であれ、貴金属・美術品であれ、“国(司法)が”執行するものには、最初から“売主の瑕疵担保責任”など存在しないのです。購入者(入札者・落札者)の完全な自己責任という事です。・・・論評は差し控えます。
   (・・・ここまで別ページQ&A集と同じです・・・が、【追記】部分あり。・・・)


   ・・・この“売主の瑕疵担保責任”は、通常売買される物品のほか、売買される不動産なら、土地であれ、中古住宅であれ、新築住宅であれ全てにおいて、しかも売主が、宅地建物取引業者であれ、一般個人売主であれ、一般法人売主であれ、全てにおいて関係します。・・・先のたった一つの例外を除いては。

   ・・・そして、このような“隠れた瑕疵”の話題は、誠実な不動産業者が、媒介(仲介)する場合や自らが売主となる場合に、現実の不動産取引上格段に注意する事柄であり、・・・現実にこの問題が何らかの“かたち”で表れるなど発生した場合には、これもまた格段にナイーブな案件となると云えます。
   別ページでもイメージ図にて少しふれておりますが・・・取引完了(引渡し)後において発生するクレームの多くが、この“瑕疵担保責任”にそもそも該当するのか否か判断することが極めて難しい事案もあり、併せて取引上の“瑕疵”を明らかにする事自体も難しいという面もあります。また、このページでは詳しくふれませんが、本質的に“売主の”と定められているため、もし仮に、“買主にとって重大な隠れた瑕疵”が発見されると、その多くの場合で、媒介(仲介)不動産業者の職域をはるかに超越してしまうため、実際には弁護士など法曹界の方々に委ねられることとなるでしょう。(売主が宅地建物取引業者の場合は、当然除外されません。)・・・このページでは、“物の瑕疵”について説明していこうと思います。(・・・“権利の瑕疵”もあるのですが、ここではふれません。)

   ・・・不動産取引上で現実に問題となってくるのは、・・・一般個人や法人の方(不動産取引の場合、売主と買主)やその取引に関係する不動産業者など関連する関係者それぞれが本来もつ民法上の“善良なる管理者の注意義務”(業者の場合、中古住宅などの取引では、宅地建物取引業法など、それぞれの業法もかかりますので、専門管理業者としての注意義務も)をもってしても、取引完了時までに発見できなかった何らかの原因や現象による結果として・・・不動産取得者である買主が、その購入目的を達成できるのか否かなど・・・それぞれのケースによって解決方法が異なってくる話となる事です。・・・また、法的には民法を主軸としますが、売主が業者で購入者が一般の個人ですと、消費者契約法という法律も関わってきます。また、売主買主双方共に商人である場合は、商法も関わってくるので、法律家などでないと、現実としてなかなか理解しにくいですし、ご説明も難しいのですが・・・。
   ・・・そして、建築物など・・・自然環境そのものを除いて・・・そもそも我々人が日々接する“もの”とは、同じく誰かが過去につくった“物”ですから、不具合や故障、経年劣化による性能低下を考えると、それこそ“きりがない”訳です。・・・しかしながら、現実に・・・買主にとって“重大な隠れた瑕疵”が現れることによって・・・実際の取引関係者全員が翻弄される事態が考えられます。(・・・実に悩ましい問題です・・・)

   ≪さて、唐突かもしれませんが・・・具体的にこれらの問題点を把握するため・・・ここで一般個人売主と一般個人買主間で取引する中古住宅をイメージしてみて下さい。≫

   ・・・当然“中古”ですから、新品ではありません。新築時工事完了直後から、経年劣化や自然損耗など、至る箇所で始まる訳です。現実に台風や地震などにもさらされるでしょう。また、管理者(所有者や使用者)のちょっとした不手際によって室内外にキズなどができているかもしれません。

   ・・・ここでさらに話を絞って、一般の木造家屋における・・・“雨漏りか否か”あるいは“隠れた瑕疵と云えるのか否か”の判断の難しさについて、少し長くなりますが記述したいと思います。

   ・・・日本には、毎年多くの台風が接近・上陸します。一般の木造住宅は、古来から現在まで受け継がれてきた技術と文化(城郭や寺院建築など日本の伝統工法による)などに基づいて、その工法が“木造在来工法”として確立しています。現在でも、用いる材料の開発や新しい社会状況に対応するための設備類など建築を取巻く周辺分野と共に、実際に我々のマイホームに取り込まれ続け、進化しています。(ここでは2×4工法など外来技術等も建築的に影響をもたらしていますが複雑になるので省略します。)・・・そういった関係もあって、日本家屋は世界の各地域の木造家屋と比較してもみても、屋根や外壁などの建築構造・材料・各部品等が本来持つ理由・理屈があって、結果として“風”と“雨水”に対する“耐性”がそもそも高いと云えます。

   ・・・しかしながら、現実に“雨漏りか否か”、“隠れた瑕疵と云えるのか否か”の判断に迷うといったような状況がしばしば起こります。・・・ここでは・・・あくまでも・・・故意に手抜き工事がされていた、新築時の大工さんの技術経験不足、新築を請け負った建築会社の監督上の不手際、間取りなどの制約によって用いられる工法・構造などにそもそも無理があった、売主の使用上の不注意等によるもの・・・などの場合を除いてイメージして下さい。・・・実際の天井や壁に染み付いている・・・コップの水を引っ掛けたような・・・“雨漏りらしき形跡”を・・・。

   ・・・まずもって、この“形跡”について・・・不動産売買契約締結の前に、取引当事者(売主・買主)や取引関係者(仲介業者など)の一者でも気付いていて、適切に「・・・ここに雨漏りがあります。」と購入予定者である買主に対し真実をご説明・告知していたら・・・それは、確かに欠陥あり・性能が劣ると云えるけれども、現実に欠陥等の状況がその不動産に存在するという事を表示しているため、“隠れた瑕疵=隠れた欠陥”とはならず・・・取引完了後においてまでも複雑でナイーブな状況とはなり得ません。(買主がご承知・納得の上で、取引価格の減額などと共に購入の総合判断をされる訳ですから。)

   ・・・またこの“形跡”自体については、本当の雨漏り:雨天時常に起こるものとは別の可能性も考えられます。・・・それは、台風などの強風と大雨を伴う天候時のみに、この“形跡”の原因が生じるのか否か、あるいは、風などがほとんどない場合でただの雨天時のみに、この“形跡”の原因が生じるのか否かを、区別してイメージして頂くと分かりやすいのではと思います。

   ・・・当然として“雨”は、天空から降り注いできます。そして通常の場合、その“雨水”を受け流すための機能を日本家屋の屋根・外壁は、その高いポテンシャル構造でもって、我々の“雨露や風雨をしのぐ日々の暮らし”に貢献しています。・・・それなのにどうして“雨漏りらしき形跡”ができるのか?・・・それを解く一つのキーワードは、“風”です。しかも、“横殴りの強風”。これと大雨が揃ってしまうと、日本家屋の屋根裏等には、たちまち雨水が浸入する可能性が出てまいります。日本家屋の屋根部は、主に直上から降る雨と多少のハネ返り水、雪等を想定し、その勾配角度や防水処理の施工など、それぞれに意味を持つ構造・工法をしていますので、横殴りの風雨や、下から吹き上げるような風雨を苦手としています。・・・そんなのおかしい!それならば、屋根や外壁など全部ひっくるめて、防水工事すればいいじゃないか!と思われるかもしれません。・・・でも、現実にはそうもいかない事情があるのです。・・・詳細については、かなり専門的な建築分野(関係する熱効率など)に踏み込みますので、省略致しますが一つだけ・・・まず、日本の気候を思い出して下さい。・・・昔、学校(中学あたりだったと思うのですが)で、当然日本全国の地域によって少しずつ違ってまいりますが、世界的にみると、日本の半分が温暖湿潤気候で、もう半分が大陸性気候・・・。しかも近年は、ニュースで取り上げられるように日本の気候や生態系について・・・亜熱帯化しているのではという説まであります。・・・確かに外国のスコールと似たような「ゲリラ豪雨」などや外来生物が増えている気もします。・・・要するに何を申し上げたいのかというと、日本家屋の多くは、その四季と呼ばれる各季節の中で、一番厳しいと云える時期の“夏場”を主に想定して建てられているのです。しかも梅雨など、多湿の時期もあります。木造家屋にとって、湿度は大敵です。また、間接的にも、シロアリなどが最も好む環境のため苦手です。・・・そういった環境下にさらされる建物そのものを、屋根や外壁などひっくるめて防水工事をしてしまうと、結果年間使用を前提にする上で居住性を低下させるということがあるのです。(おそらく、完全防水工事だけを追加して施すと・・・通気性等を低下させ・・・室内温度が劇的に上がるでしょう。)・・・現在の技術や経済コスト的に、こっちのために○○工事をすると、結果として○○機能・性能を低下させることが容易に予測できるといったような、いわばジレンマ状態になるのです。もちろん、そういった防水工事を通常しない理由はこれだけではありません。

   ・・・が話を、より具体的な“隠れた瑕疵”か否かに戻します。

   ・・・このように、ある意味突発的な天候状況による“らしき形跡”であって、建築業者や大工さん(いまどきでは建築Gメン?)に屋根裏などを現実に調べてもらっても、実際の雨水の進入経路をハッキリとつかめない(分からない)場合は、どうなるのでしょうか?
(結構こういう場合があるのです)
   ・・・雨水の進入経路を辿れないと、現実に修理する箇所の特定ができません。・・・その特定ができなければ、修理の見積もりさえできません。・・・さらには、肝心の修理箇所の特定をせずに工事を見切りスタートさせた場合でも、本当にこの“らしき形跡”の原因を止めることができるという保証はないのです。
   ・・・要するに、このような場合に当たってしまうと、誰が売主(所有者)であっても起こり得る“事故的現象”とも云うことができるのです。・・・云わば現象そのものが、完全に売主の責任とは断言できないような・・・このように現実には、常識的にどう判断すれば良いのか困惑するような事象があります。
   ・・・これは“隠れた瑕疵”に該当するのか否かという事とともに・・・“そもそも売主が担保すべき内容”なのか否かでさえ、判断が極めて難しい場面です。


   ・・・実際の問題発生時には、取引完了後であっても、このようなことをどう取扱うのかについて、売主買主双方間で話し合いをしなければならなくなる可能性が高いと云えるでしょう。

   ・・・ちなみに上記のような場合で、日常的な“本当の雨漏り”と云える状況があり、取引関係者のだれもが気付く事がなく放置され、結果取引をしてしまった場合(・・・現実には、ほとんどあり得ませんが)や、取引後の調査によって原因箇所など、何らかの“隠れた瑕疵”と云えるものを技術上つきとめる事ができた(判明した)時には・・・
   第一義的に、締結した売買契約書に基づいて・・・その瑕疵担保する期間の定め等ケースにもよりますが・・・まずは売主負担による修理・補修をする事となります。

   ・・・現実には、このような“雨漏り”などの物理的な瑕疵であれば、比較的早く解決できるでしょう。


   ・・・が、法的に主軸となる民法ではさらに厳しい事も掲げています。・・・もし、仮に実際の売買契約書によって、「売主の瑕疵担保責任を免責する」といった売主買主双方間で合意済みであるという証(あかし)が無かった場合(=有効な特約が無い場合)は、法律的に云う強行規定・売主が無過失責任を負うとされる“民法の原則に沿った売買契約”とみなされるために・・・民法上では、買主がその目的物たる不動産の“隠れた瑕疵”を発見してから、売主に対し修補を請求できる期間について、ただ「買主が事実を知ってから1年」としていて、具体的に「引渡し後○年」といった規定がないため、極端な話・・・100年後でも売主買主等が健在なら、その瑕疵を発見し修補を請求できる事となってしまいます。(・・・修理等が現実的に可能で取引関係が早く完結できる場合は、まだ良いほうと云えます)・・・しかしながら、実際には別に最高裁判所による判決事例(判例)というものがありまして・・・不動産売買上、「買主が事実を知ってから1年」が適用できる場合でも、その瑕疵担保による損害賠償請求権は、通常の債権と同じく「物件の引渡しから10年経過より消滅時効にかかる。」とされております。
   ・・・したがって売主は、もしも買主とただ漠然とした売買契約で、瑕疵担保責任について何らの有効な特約を締結しておかなければ、“引渡しから10年間”瑕疵担保責任を負担する可能性が高いと云う事となります。

   ・・・しかも民法上の大原則では、結局のところ買主の購入(契約)目的を達成できないことが判明した際には、締結済売買契約そのものの契約解除権があるという、ある意味すごい法律なのです。

   ・・・こういった意味で、不動産売買の多くに私共のような媒介(仲介)業者が売主買主双方の間に入ることで、有効な特約を締結し、結果としてスムーズに不動産取引が行われる“日常”が、いかに重要であるのかを感じざるを得ません。

   ここまでは、一般個人間売買の場合を取り上げました。

   では、売主買主双方共に商人である場合はどうなるのでしょう。
   この場合は商法が適用され、「買主は目的不動産の引渡しを受けたときに遅滞なく瑕疵の有無を検査し、瑕疵の発見の有無にかかわらず、引渡し後6ヶ月以内に発見し売主へ通知を発しなければ、その瑕疵担保責任を追及できない。但し売主が“瑕疵”があるという事実を知っている場合は、この限りではない。」とされています。

   では、売主が私共のような宅地建物取引業者で、買主が一般の方であったらどうなるのでしょう。
   この場合には、まず宅地建物取引業法が適用され、「売主業者が瑕疵担保責任を負う期間が、目的不動産の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除いて、民法規定よりも買主にとり不利となる特約をしても、それは無効。」としていますし、消費者契約法も適用されますので、「事業者である売主業者が瑕疵担保責任を一切負わない旨の特約は無効。そして、信義誠実の原則の観点から、民法規定よりも消費者(買主)にとって一方的に不利益となる特約をしても、それは無効。」・・・などとして、結果消費者の保護をしています。

    さらに、目的不動産が新築住宅(完成から1年を経過していない未使用のもの)のうち、以下に示す政令で定められる部分については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が適用されます。さらに関連して、昨今のマンション耐震偽装事件を発端として法律化された「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」もあります。(・・・これらは不動産の売買だけではなく、建築のみを工務店やハウスメーカーに依頼するといった“建築請負契約”の場合も同様です。)

    ◆ 構造耐力上主要な部分・・・住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの
    ◆ 雨水の進入を防止する部分・・・住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具、雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分

    ・・・上記の政令で定められた部分について“隠れた瑕疵”が発見されたとき、その補修工事などを売主業者や建築施工業者に担保させるため、「最低10年間は売主等に瑕疵担保責任を義務付けさせ、特約によって担保期間を短縮させたり、責任内容を軽減しても無効。」としています。・・・「10年保証」や「10年保証付き住宅」などと呼んでいるものです。

      尚、住宅瑕疵担保履行法では、元の売主業者や建築施工業者に対する“隠れた瑕疵”への履行能力(資力)等の確保を主な目的としており、売主業者や建築施工業者の住宅瑕疵担保責任保険への加入や供託所(東京法務局)への保証金供託を義務付けるとともに、実際の問題発生時には、住宅紛争処理支援センターや指定住宅紛争処理機関(弁護士会)を利用し、なるべく早期に問題解決を図っていくという制度設計となっています。

   ・・・・・・いかがでしょうか。これでも、“隠れた瑕疵”について、誤解を恐れずかなり簡略化してご説明したつもりです。しかし、“隠れた瑕疵”そのものが、多くの当事者・・・(※売主や買主、誠実な宅地建物取引業者、建築請負施工業者なども含みます)・・・にとっての、まさに“想定外の事象”ということとなりますので、このページで例に出した“雨漏りのような”物理的な瑕疵だけでなく、様々なケースも考えられます。・・・ハッキリ云って、誰しもがこのように面倒な事態は避けたいと思うでしょう。筆者自身、個人としてもそう思いますし、宅地建物取引業者の一員としては尚更現実の業務などを考えると、『常に“注意力”を最大限はらっていかねば。』と、強く認識する次第であります。・・・一般(将来、売主や買主となり得る)の方々におかれましては、まさしく“転ばぬ先の杖”としてお読み頂ければ、と思いつつ記述致しました。



    ・・・・・・※ 約120年ぶりとなる民法改正(施行:令和2年4月1日)により、これまでの「(売主の)瑕疵担保責任」という言葉自体が使用されなくなり ⇒ 「(売主の)契約不適合責任」へと、大きく転換されました。・・・尚、敢えて当サイトページで以って、かなり細かい法的説明をすることについては、差し控えますが(※不動産以外の、いわゆる「動産」についてや・・・しいては、我々の日々の暮らしにも、当然に関わる事柄ですので)・・・こと「不動産」についてを、誤解を恐れず、且つ極力簡潔に説明すると・・・改正民法では、「不動産のような特定物における売買契約であっても・・・売主は、ただ単に当該不動産を現況有姿のままで買主へ引渡すだけでなく、現実の契約内容に適合する不動産として(買主へ)引渡すための契約上の債務を負うこと」・・・が前提とされ、且つ・・・「もしも、買主が想定し得なかった欠陥や、または(買主が)期待する性能や機能が不足する不動産に該当した場合には、当該売主が、その契約債務不履行責任を負う」・・・と云う規律に改められたのです・・・が、但し・・・これもまた 、旧民法の全てが刷新された訳ではなく・・・これまで通り、その一部については継承されている部分もあって、「契約上の任意規定(※いわゆる特約条項)」を締結すること自体は、一応認められております。・・・それでも、『最近のご時世』と、一言で云っては何ですが・・・土地に対する地質・地盤調査や、第三者建築士などによる建築物のホーム・インスペション(建物状況調査)など、一般の方々が不動産を購入する際の選択肢が増えているのも事実ですし・・・リノベーション住宅などの再販を目的とする宅地建物取引業者は、これまで以上に物件買取り等についてを、『慎重且つ安全にするほかない』と考える筈です。再販などを目的とする業者が、一般の方々へ担保する「売主業者の契約不適合責任」というものは、一般の売主が負担する契約不適合責任よりも、遥かに重大ですので。・・・ちなみに、不動産の売主が法人や個人事業主などの場合にも、いわゆる「商事売買」に該当することとなり、民法改正の影響があります。・・・【※追記部分の記載時期:令和2年5月時点】