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建物の『種類』についての話

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   こちらのページでは、不動産の売買やローン申込などの重要な場面において、必須書類である登記簿・登記事項証明書のうち、土地とは別個の不動産である建物についての話、とりわけ建物の『種類』について記述致します。

   まず、建物の表示に関する登記事項としては、「建物の所在」・「家屋番号」・「建物の種類、構造、床面積」が定められています。(不動産登記法第44条)

   そして、これらのうち『建物の種類』とは、不動産登記法により登記所(法務局)の登記官が、その建物の用途を判別し認定するものであり、建物を特定するための一つの要素として該当不動産の利用形態を表示したものです。・・・たとえば、現実の不動産業務の現場では、誰がどう見ても現地不動産の『建物の種類』と登記情報いずれもが、“事業用店舗”である不動産に対して、一般金融機関の“住宅ローン”を組もうとしても当然無理な事であると判断する際などに利用している訳です。

    『建物の種類』は、不動産登記法において具体的にその主たる用途によって37種類が規定されております。そして、この37種類に該当しない建物については、・・・土地についての『地目』のような厳格な基準が無いため・・・一般社会において通用する用語により的確かつ合理的に定めることとなっています。
    また、一棟の建物に2つ以上の主たる用途がある際(複数用途に供されている場合)には、たとえば「居宅・店舗」・「居宅・車庫」というように、その種類を併記することとされています。・・・『建物の種類』は、建物を特定するための一つの要素であるので、主たる利用目的に従って登記すれば足りることとなっておりますが、複数の利用目的をもつ建物をその利用形態にしたがって全て列挙すると、極めて煩雑なものとなってしまうため、所有者の意思をも考慮しつつ、『主な種類』に整理し登記することになるのです。

   それでは、以下に不動産登記規則及び不動産登記事務取扱手続準則で定められた全37種類の『建物の種類』と・・・特に不動産登記法で定義されている訳ではないのですが・・・実際の登記で使用されている主な事例をまとめまして、合計47種類ほどをご紹介致します。(注.イメージし易いよう、似通った用途の順にしておりますので条文通りの順ではありません。)

建物の種類

簡易説明

居宅

 専ら居住の用に供されるものであり、一般の住宅のほか、別荘も含まれます。実際に人が居住しているか否か、居住者が建物の所有者であるか否かは問いません。

共同住宅

 居住の用に供する一棟の建物の内部が居住単位ごとに仕切られていて、数所帯がそれぞれ独立して生活できる構造・間取りの建物です。賃貸用アパートなどがあります。

寄宿舎

 多数の者が食堂・浴室・洗面所等を共用し、それぞれの居住単位の区画内において独立した生活を営めない構造・間取りの建物です。学生寮や社員寮などがあります。

店舗

 靴店・洋品店・薬局・八百屋等の商品を陳列して物品を販売する店のほか、レストラン・食堂・喫茶店等の飲食物を調理して提供する店、理髪店・美容院等の技術を提供する店も含まれます。また犬猫等の動物に対する診療を目的とする施設についても「店舗」とするのが相当であるとされています。

料理店

 上記のレストラン・食堂・喫茶店等とは区別して、専ら会席・飲食の場を提供する料亭や割烹等のことです。

百貨店

 上記店舗のうち、デパート等大規模なものを「百貨店」とすることも可能です。

事務所

 官公署・組合や会社等の法人・団体や個人等が営む事業活動のため事務の用に供される建物です。ちなみに、銀行法等が適用される建物については、「銀行」又は「店舗」とされます。

旅館

 一定期間宿泊の場を提供する、文字通りの和風旅館やホテル・ユースホステル・ペンション等の建物のことです。

ホテル

 上記のように「旅館」としてもオーケーですが、洋式接客サービス提供などのため「ホテル」とすることも可能です。

保養所

 上記の「旅館」や「ホテル」とは区別し、会社等がその社員等の保養の用に供する建物のことです。

工場

 物品の製造・加工等を行うための比較的規模の大きい建物のことです。

作業所

 上記の大規模な「工場」に対し、専ら労力作業を行うための仕事場や家内工業的な製造・加工を行うための小規模な建物のことです。

倉庫

 専ら物品の収納・保管の用に供する建物のことです。

物置

 上記の「倉庫」に対し、個人等が日用品等の収納・保管の用に供する小規模な建物のことです。

納屋

 上記の「倉庫」や「物置」とは区別し、専ら農作物や農機具などの収納・保管の用に供する建物のことです。

車庫

 特定の者のために自動車等の駐車の用に供する建物のことです。一般に「ガレージ」と呼ばれるものや、家屋下の半地下車庫などが該当します。

駐車場

 上記の「車庫」に対し、不特定多数の者のために自動車等の駐車に供する建物のことです。機械式立体駐車場などが該当します。

駐輪場

 使用者の特定・不特定を問わず、文字通りの自転車置場専用の建物です。マンションや各商業施設などで見られる屋根付き自転車置場などです。

校舎

 学校教育法が適用される教育の用に供される建物です。ちなみに、幼稚園も学校教育法が適用されるため、「園舎」又は「校舎」とされます。

講堂

 上記の教育用「校舎」のほかに講堂がある場合には、「講堂」とされます。

体育館

 上記の教育用「校舎」のほかに体育館がある場合には、「体育館」とされます。

保育園・保育所

 上記幼稚園の場合とは少し異なり、「園舎」・「保育園」・「保育所」とされます。

教習所

 上記のような学校教育法が適用される建物とは別に、学校教育法が適用されない自動車教習所や学習塾・そろばん塾・生花・茶道・絵画・音楽・舞踏・裁縫・手芸教室等の用に供する建物のことです。

研究所

 文字通り「研究所」のことです。財団法人や独立行政法人などの専ら研究の用に供する建物のことです。細かい説明は不要かと思います。

病院

 医師又は歯科医師が医業を営む場所であり、かつ患者20人以上の収容施設を有する建物のことです。ちなみに、これは建築基準法と同じ考え方です。

診療所

 医師又は歯科医師が医業を営む場所であり、かつ患者収容施設が無いもの、或いは患者19人以下の収容施設を有する建物のことです。ちなみに、これも建築基準法と同じ考え方です。

集会所

 一定の地域住民が会合や冠婚葬祭式場として使用する比較的小規模な建物や、一般に公民館と呼ばれる建物のことです。

会館・公会堂

 結婚式場や貸会議室・貸ホールなど、一般公衆向けの各種行事の開催等を目的とした比較的大規模な建物の場合、「会館」又は「公会堂」とすることができます。

停車場

 駅舎・プラットホームなどのことです。そして、不動産登記事務取扱手続準則第77条では、建物として認定するものとして「停車場の乗降場又は荷物積卸場。ただし、上屋を有する部分に限る。」また、「地下停車場、地下駐車場又は地下街の建造物」とされています。

劇場

 演劇・舞踊などを専ら観客に見せることを目的とした建物のことです。細かい説明は不要かと思います。

映画館

 映画を専ら観客に見せることを目的とした建物のことです。細かい説明は不要かと思います。

遊技場

 パチンコ・ボーリング・ビリヤード・麻雀・ダンスホール・射的・囲碁・将棋等の用に供される娯楽施設としての建物のことです。

競技場

 陸上競技場など屋根付き観覧席などが建造されるものです。細かい説明は不要かと思います。

野球場

 文字通り専ら野球のため建造されるものです。そして、不動産登記事務取扱手続準則第77条では、建物として認定するものとして「野球場又は競馬場の観覧席。ただし屋根を有する部分に限る」とされています。

競馬場

 文字通り専ら競馬のため建造されるものです。そして上記同様、不動産登記事務取扱手続準則第77条では、建物として認定するものとして「野球場又は競馬場の観覧席。ただし屋根を有する部分に限る」とされています。

公衆浴場

 一般に大衆浴場(銭湯・風呂屋)と呼ばれるものや、温泉観光地などで見られる地元管理による共同浴場などです。ちなみに公衆浴場法や各都道府県の公衆浴場条例が関連します。細かい説明は不要かと思います。

火葬場

 これについては、特に細かい説明は不要かと思います。

守衛室

 特定施設などの門扉や出入口付近にあるものなどで警備員を配置させ、出入管理などにあたらせるためのものです。細かい説明は不要かと思います。

茶室

 “茶の湯”に供するための建物のことです。一般には本格的な数寄屋建築などが挙げられます。細かい説明は不要かと思います。

温室

 堅固な基礎や外壁で構成された農業用などための建物のことです。簡易的な鉄骨フレームのみで構成されているものや一般にビニールハウスと呼ばれるものは該当しません。

蚕室

 専ら生糸生産のため蚕を飼育する建物のことです。・・・“お蚕さん”飼育のために、特に温度・湿度の調整や防犯対策など社会的な必要性があるためだと推察いたします。(筆者感想)

便所

 これについても細かい説明は不要かと思いますが、公共的な場所における、いわゆる“公衆便所”のほかに、稀ではありますが、広大な畑のなかにある、農業従事者専用のものなどがあります。

鶏舎

 養鶏のための建物です。細かい説明は不要かと思います。

酪農舎

 牛・馬・豚等の家畜を飼育を目的とする建物です。「畜舎」とされることもあります。細かい説明は不要かと思います。

給油所

 一般のガソリンスタンドなどです。細かい説明は不要かと思います。

発電所

 水力・地熱・風力・火力・原子力・・・など各種方法による発電施設です。細かい説明は不要かと思います。

変電所

 上記同様、文字通りの変圧・変電施設です。細かい説明は不要かと思います。

(参考条文)不動産登記規則第113条、不動産登記事務取扱手続準則第77条及び第80条、一部について建築基準法などその他法令