街並と天空   

『 夢と夢をつなぐこと・・・ 』

 それが私達のモットーです。 ~トータルプラン長山の仲介~ 

    

建物の地震に対する備え 「耐震」「制振」「免震」の特徴 耐震診断と耐震改修について


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   “建物の地震対策”と云えば・・・そもそもの話となりますが・・・昭和56年(1981年)の建築基準法改正によって耐震基準が大幅に強化され、特に法改正後の建築物は、最低でも“この耐震基準”を満たさないと、一般の建物として認められない(建てられない)という現実があります。・・・しかしながら、先の東日本大震災のような・・・それまで一般的に知られてきたものとは異なる地球メカニズムによって引き起こされるような“想定外の地震”であった場合・・・それぞれの建物を利用する人々の生命や財産を自然災害等から守っていくという、現代建築物に課せられた一定の目的を達成する上において・・・「これまでの耐震」の地震対策だけでは、当初より想定されている震度や揺れ時間などを超えるような事象(大地震)に対して、『絶対的に安心とまで云い切れないのでは?』と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

   ・・・そこで・・・先の震災以前より建築技術の研究開発を通して私達の暮らしや社会に・・・それぞれ実際に導入され、その実績を積み重ねてきている「耐震」・・・その効果を期待され、導入され始めていた「制振」と「免震」・・・これら3つの“技術(概念)”が、現在の日本における“建築物の地震対策の主流”と云えるのですが・・・
   ・・・こちらのページでは、先の震災経験者の一人として
(筆者自身も先の震災時・・・建物に限って云うと・・・一部損壊状況という程度ではありましたが・・・自宅の屋根瓦が庭に落下したり、外壁や室内の壁に亀裂が発生するといった経験をしました)・・・“建物の地震に対する備え”としての、「耐震」「制振」「免震」の特徴と、耐震診断・耐震改修などについて分かりやすくご説明したいと思います。・・・尚、先の震災で震源域となった東北沖(幅約200㎞×長さ約500㎞)から、かなり離れた東京都心や大阪方面の高層ビルなどでも、「長周期地震動」によって建物が共振し、かなり揺れ幅があった事なども実際のデータ解析等によって裏付けられてきております。・・・それらの解析結果などによって新たに解明されてくる事象に対応し、今後の建築物や世の中に反映させていく“動き”や“対策”も当然出てまいりますので、その都度こちらのページに追記していくつもりです。

   ・・・「耐震」、「制振」、「免震」・・・専門的には実際の建物構造による違いによって建物部位や部品などの呼び方などは異なってまいりますが・・・ここではあくまでも、概念的にイメージして頂けたらと思っております。



   1.耐震構造

筋かいなどの耐力壁イメージ
【筋かいなどの耐力壁イメージ】


    基礎から建物内に伝わる(入ってくる)地震力に対し、構造体を堅固にすることで地震に耐えようとする構造です。

     【例.在来木造では、柱や土台、梁に対して“筋かい”を一定量、建物全体にバランス良く、X(エックス)字(=バッテン状)に入れたり、さらに構造用合板と呼ばれる堅く圧着された板を張り付けることなどで、耐力壁とします。2×4(ツーバイフォー)や2×6(ツーバイシックス)工法は、壁式(パネル)工法のため、木枠にこの構造用合板を打ち付けた壁を耐力壁とします。鉄筋コンクリート造では、太めの鉄筋などを一定量施した上で、構造上耐力壁としない部分と比べコンクリートの壁厚を厚めに打設し耐力壁とします。】

      筋かいは、柱と柱(土台や梁にも)の間に斜めに取り付ける(云わば“つっかえ棒”の原理)ことで、地震力によって生じる“建物がねじれながら倒れこもうとする力”に抵抗するためのものです。これに対し壁式(パネル)工法の場合は、“この力”に抵抗するために構造用合板張り付けによる“面(めん)”で耐えようとする考え方です。・・・ですから今日では、さらに耐震強度を向上させるため・・・在来工法と壁式工法を折衷したような・・・筋かいと構造用合板を併用する建物があるのです。鉄筋コンクリート造の耐力壁では、鉄筋とコンクリートの性質上、その粘りと堅さの限界ギリギリまで地震による“破断力”に耐えようとします。

      ※「耐震構造」の場合、地震がいわゆる横揺れの際には、特に2階3階と上層階になるほど揺れが強くなる傾向があります。価格面では、耐震基準があることで広く一般に普及しているため、一般に「制振構造」「免震構造」と比べ一番安価と云えます。



   2.制振構造

制振ダンパーなどのイメージ
【制振ダンパーなどのイメージ】


    基礎から建物内に伝わる(入ってくる)地震力に対し、建物内部で反作用力としての“力”を減衰させたり増幅させる「制振装置」を組み込むことによって、結果として建物の揺れを縮小する構造です。

      制振装置については、外部からエネルギー供給し制御するアクティブタイプ、基礎と建物躯体や建物層間などにダンパーを設置する減衰機構付加型、パッシブ型と呼ばれる周期を調整したおもりを建物頂部に設置する付加質量型などがあります。ちなみに、高層ビルなどでは、風による揺れ(風圧力)に対しても「制振装置」を設けて対応しています。

      ※「制振構造」の場合、基礎と建物が緩衝材により間接的に繋がっている(切り離されている訳ではない)ため、「免震構造」と比べると効果が低いことは否めませんが、特殊減衰ゴムなどを使用することにより地震力を抑え(吸収し)、「耐震構造」以上の効果を発揮します。価格面では、一般に「耐震構造」と比べると比較的高価、「免震構造」と比べると比較的安価と云えます。



   3.免震構造

アイソレーターとダンパーのイメージ
【アイソレーターとダンパーのイメージ】


    そもそも地盤と建物を切り離すことで、地震力が建物に伝わることを云わば遮断してしまう構造です。基礎部分にアイソレーターなどを設け、その上に建物を載せることで地盤の揺れに建物が追随しないようになっています。

      ※「免震装置」の設置箇所は、基礎下や地下階、中間階などです。アイソレーターは建物を支えながら、地震の際には建物をゆっくりと移動させ、ダンパーはその際の移動を一定に抑える働きをします。価格面では、一般に「耐震構造」「制振構造」と比べ一番高価と云えます。


      ・・・最近では・・・免震構造の一種と云えると思いますが・・・そもそもの地震力を極力避ける目的で、3階建住宅程度の荷重建築物において・・・地震波の一種であるP波を捉えることができる地震センサーを設置し、建物の基礎から上の建物一棟丸ごと空気の力(風船の原理)によって数センチメートル程度持ち上げてしまうという『断震』なる技術も取り入れられてきています。これは新築時だけでなく、実際に個々の建物の間取りや工法・改修予算などの制約がクリアできれば既存の中古戸建などにおいても導入できるはずです。・・・以下は、この『断震』システムのご紹介となってしまいますが・・・この技術普及・施工普及に取り組む事業者による情報の概ねのところをまとめてみると・・・
 ・・・「この断震システムの施工費用目安については、導入しようとする住宅によって実際に異なってきますが、従来からの免震装置の約1/2~約1/3相当で抑えることができ、これまでの地震対策と比べ高い効果と比較的設置しやすい費用を両立しています。また、在来木造や2×4(ツーバイフォー)、2×6(ツーバイシックス)をはじめ、3階建住宅など様々な戸建住宅に導入できます。」・・・ということです。(下図はこの事業者よりお借りしました)

断震システムのイメージ
【断震システムのイメージ】




   4.耐震診断と耐震改修
      昭和56年(1981年)の建築基準法改正以前の既存建物に対し、適切な耐震診断を行い安全な建物に改修していくという「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が、平成7年(1995年)に阪神淡路大震災の教訓によって制定されました。
      耐震診断は、設計図書や現地調査などによって、どの程度の診断が必要なのかを判断する「予備診断」に始まり、その後「耐震診断」や「劣化診断」を行なって、それらの結果に応じて補強工事や機能更新、建替えなどといった方法を選定することとなります。
      「予備診断」では、まずその建物の建築時期がいつだったのかが問題となりますが・・・竣工(完成)時期と勘違いされやすいのですが・・・原則として・・・昭和56年(1981年)6月1日以降に着工し、現在の耐震基準(新耐震基準と呼んでいます)を満たしている建築物ならば概ね問題ありません。・・・実際には、構造計算書などの設計図書類等で確認することとなります。・・・しかしながら個々の建築物は施工の仕方によっても性能等に差異が生じるため「予備診断」後、更なる「耐震診断」や「劣化診断」を行ってから、その時点での最終的な判定とすることになるのです。

      耐震補強としては、実際に鉄筋コンクリートの壁によって補強する方法や、鉄骨ブレースや鉄板などにより補強する方法など様々あります。また、「制振装置」や「免震装置」を設け建物にかかる力を減衰させる方法をとる場合もあります。建物内部に補強のための壁などを設けると、機能的に使い勝手を損ねてしまう可能性があるということから、建物外部に補強フレームやバットレスのような控え壁を設ける方法もあります。
      マンションなどの場合には、開口部(窓部)などを塞いでしまうと、結果居住性を損ねてしまうことになりかねないので、改修方法については、多方面より検討する必要があります。日々の気象状況や頻繁に起こる地震などによって、亀裂(クラック)が大きくなっていたり、劣化が想定より早く進んでいたためなどによって、建築物の耐久性能が低下しているという場合もありますので。

   【誰でもできるわが家の耐震診断 (国土交通省住宅局監修・一般財団法人 日本建築防災協会編集)へ】
   ・・・※WEB簡易診断の対象は、平屋建から2階建までの木造一戸建て家屋(在来軸組工法や、2×4工法・2×6工法の枠組壁工法で店舗や事務所との併用住宅を含みます)です。あくまでも、上記「予備診断」前の‘目安’としてご利用下さい。


   5.設備などの耐震改修
      最近では、配管などで継手部分に負担がかかりにくいものや、曲げや衝撃に強い材料も多く出てきていますので、設備改修の際に検討されるのも良いのではと思います。
      地震時にエレベータ内に人が閉じ込められたというケースもあります。平成21年(2009年)の法律改正で、エレベータの安全基準が義務付けられました。そのなかに「地震時管制運転システム」というものがあります。地震波の一種であるP波を感知すると、最寄り階に自動停止し、扉が開くという装置です。また、「停電時自動着床システム」というものもあります。計画停電や地震による緊急停電の場合でも、内臓のバッテリー(電源)によって、安全に最寄り階まで移動させるものです。
      高齢者が多く入居するマンションなどでは、緊急の避難情報が耳に入りにくいことや、室内から助けを求めても遮音性が高い建築物であるがゆえ、外部に伝わりにくいこともあります。このような場合には、管理人室から避難を呼び掛けたり、室内から救助を求められるインターホンなどの設備もあります。



   6.まとめ
   ・・・地震などの災害においてもそうですが、地球の気候変動やメカニズムなどの自然環境や自然科学などの分野は、まだまだ研究課題山積という状況であり・・・建築の分野に限ってみても・・・過去の事象などを契機として“対策”をとっていくことしかできないのかもしれません。・・・しかしながら、一般に数十年以上の使用期間を前提とする“建築物”であるからこそ、過去の災害などを教訓として、建築物の安全性、耐久性、経済性や今後のライフスタイルなどを総合的に検討し、“常日頃からの対策”を現実にしていくことが重要なのではないでしょうか。