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トータルプラン長山の仲介


登記できる建物と登記できない構造物等について

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   「建物」といえば、一般に一戸建住宅や、マンション、オフィスビルなどをイメージできますが・・・簡易なプレハブ倉庫やゴルフ練習場などを「建物」や「建築物」として理解して良いのでしょうか?・・・さらには、コンテナボックス(ハウス)やキャンピングカー(ハウス)、本来の役目を終え再利用されることとなった列車車両などは、いったいどうなるのでしょうか?

   建物の認定については、その基準が「不動産登記法」や「建築基準法」等の法令によって、若干異なりますが、こちらのページでは前者の「不動産登記法」の観点から記述したいと思います。

   1.不動産登記法上の「建物」の認定について

   建物として登記できるか否かは、実際に不動産登記法上の「建物」として認定されるか否かによります。
   一般の住宅やオフィスビルなどは、一般常識から考えても不動産登記法上「建物」として認定されることに問題はありませんが・・・プレハブ仮設倉庫やコンテナボックス(ハウス)、ゴルフ練習場などの場合になりますと、「建物」として認定されるか否かの判断がさらに難しくなります。
   ・・・現実には・・・プレハブ仮設倉庫やコンテナボックス(ハウス)などであれば、単に地上に据え置かれているだけなのか、堅固な基礎工事が施されているものなのかによって異なりますし・・・ゴルフ練習場の場合には、実際に壁がどの程度あるのかという事によっても異なってまいります。
   そのため、不動産登記法では「建物」としての認定をするか否かの基準『認定基準』を設けているのです。・・・実際の建造物などで個別具体的な判定については、稀に土地家屋調査士や登記官などの専門家でさえ難しいケースもあるかとは思いますが、それ以外の大部分については、この『認定基準』によって大抵の判断がつくかと思います。


   2.不動産登記法上の「建物」の認定基準について

   まず、「建物とは、屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものをいう。」と、不動産登記事務取扱手続準則に定められています。
   そして、不動産登記法上の「建物」として認定されるには、下記①~④のような具体的な要件が必要となってまいります。

   ① 土地への定着性が有ること
   「土地への定着性が有る」とは、その建造物が永続的に、その土地に固着して使用できる状態のことです。・・・ですから、一定期間で取壊してしまうものや簡単に移設できるもの、単に地上に据え置かれているものは、これに該当しません。

   ・・・仮設住宅や住宅展示場のモデルハウス、キャンピングカー(ハウス)、本来の役目を終え再利用されることとなった列車車両、簡易式構造物(ビニールハウス・フレーム構造を有した温室・チケット売場など)は、上記の理由により通常の場合ですと「建物」として認定されませんが・・・これらに堅固な基礎工事を施すなど、永続的に使用可能な状態にした場合には「建物」として認定されることとなります。
    ※基礎工事の例
     (例1)構造物底部一面に鉄筋入りコンクリートが施され(べた基礎)、基礎上構造躯体や構造物本体との固定位置が基礎本体の中央部分や中心線上にあり、ボルト・ナット等を用いて固着されているような場合
     (例2)構造物底部の外周と同型の鉄筋入りコンクリートが施され(布基礎)、その基礎と基礎上構造躯体や構造物本体を固定するためのボルト・ナットが容易に取り外しができない位置に配置されているような場合

   ② 外気との分断性が有ること
   「外気との分断性が有る」とは、当然空気そのものを完全遮断するという意味ではなく、具体的に屋根や周壁等によって“風雨等”を遮断する性能を有する状態のことです。
    ※具体例(いずれも上屋がある場合)
     (例1)業務用集荷場等の建造物において、周壁が二方しかないようなものについては、その建造物の用途(目的)を達成する上で他の二方を開放しておくことが望ましいと判定されるため、建物として認定されます。
     (例2)また、上記同様ゴルフ練習場やバッティングセンターなどもその用途上当然に、打球が飛ぶ方向を開放する必要性から、他の三方に周壁がある場合、建物として認定されます。
     (例3)駐車場や駐輪場についても、完全な周壁である必要性はないので、周壁が簡易なものでも建物として認定されます。

   ③ その用途性・人貨滞留性が有ること
   「その用途性・人貨滞留性が有る」とは、屋根や周壁等により区画された建造物の内部空間において、一定の用に供することができる生活空間(人や貨物の滞留が可能な場所)が形成されている状態のことです。要するに、その建造物がその利用方法に沿った“つくり”となっているのかが問われます。現実に「居宅」や「店舗」、「車庫」などの不動産登記上の『建物種類』がありますが、それぞれの利用要件が満たされているか否かがポイントとなります。(よろしければ参考に、こちらのページもご覧下さい。)
    ・・・少し極端かもしれませんが、ひとつ用途性・人貨滞留性が無いと判断される例を示します。

    ※用途性・人貨滞留性が無いと判断される例・・・あなたが趣味で、自宅の庭などに、高さ30㎝~60㎝位の住宅や御殿などのミニチュアを、本物の建築物と全く同じ材質・工法で基礎から精巧に造り上げたとします。・・・現実にこれを「居宅」として登記しようとしても・・・『あなたは実際にそこに住めますか?』となる訳です。

   ④ その取引性が有ること
   また、その建造物自体が「不動産」として取引されることに値するものであるか否かついても重要であるとの考え(説)もあります。・・・これは不動産登記制度そのものが、一般社会において経済価値(効果)の高い不動産の取引を安全かつ円滑に図るための制度であるという基本理念に着目しているものです。


   3.建物であるか否かの判定についての例示

   不動産登記事務取扱手続準則では、建物であるか否かを定めがたい(判定しにくい)建造物については、次に掲げる「例示から類推し、その利用状況を勘案して判定するものとする。」としています。・・・不動産登記法上の「建物」であるか否かを判断する際の参考にして下さい。

   ① 建物として取り扱うもの
    ・停車場の乗降場及び荷物積卸場、ただし、上屋を有する部分に限る
    ・野球場、競馬場の観覧席、ただし、屋根を有する部分に限る
    ・ガード下を利用して築造した店舗、倉庫等の建造物
    ・地下停車場、地下駐車場及び地下街の建造物
    ・園芸又は農耕用の温床施設、ただし、半永久的な建造物として認められるものに限る

   ② 建物として取り扱わないもの
    ・ガスタンク、石油タンク又は給水タンク
    ・機械上に建設した建造物、ただし、地上に基脚を有し、又は支柱を施したものを除く
    ・浮船を利用したもの、ただし、固定しているものを除く
    ・アーケード付街路(公衆用道路上に屋根覆いを施した部分)
    ・容易に運搬することができる切符売場、入場券売場等


   4.一般に建物として登記が可能か否か判断が難しい場合には?
     一般的な建物表題(表示)登記に関連する留意点について


   建物として登記できるか否かは、第一に建物表題(表示)登記上の話となりますので、どうにも登記可能か否か判断が難しいような場合には、まずは専門家である土地家屋調査士に相談されることをお薦め致します。
   ・・・ちなみに、不動産登記法上「建物」は、その完成(新築時)より1ヶ月以内の建物表題(表示)登記が義務付けられていますのでご注意下さい。

   そして第二に、実際に金融機関からの借入を前提に建物等を建てようとする場合などは・・・その借入のため金融機関による担保評価上において、そもそも“これらの登記情報”が密接に関わってくることを御承知おき下さい。
   ・・・これからも、一般社会のニーズや仕事(業務)内容・趣味等の多様性の広がりによって、“新しいカタチの生活空間”が世の中に提案されてくることと思います。このページが、その際の参考資料となれば幸いです。


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