街並と天空   

『夢と夢をつなぐこと・・・』

それが私達のモットーです。
トータルプラン長山の仲介


“新築物件”と“中古物件” 買うなら、どっち?


!マーク


   実際に住宅など不動産購入を検討する方々において、『新築物件と中古物件、どちらがいいのか・・・?』 と悩まれる方が意外といらっしゃいます。
   ・・・さて、どちらを選ぶか?や注意点などの話に入る前に、まずは“新築”と“中古”の表示の違いなど用語の定義についてご理解頂けたらと思います。

   まず、「新築」という文言自体は、「建物が建築後1年未満であって、かつ、未使用である」という状況にあるものを示すと、一般の不動産広告を規制する各(公益社)不動産公正取引協議会(業界団体で構成された組織)によって定義されています。
   したがって、建築後1年未満であっても、使用されたことがある建物は「新築」という表記はできません。
   また、いくら未使用であっても建築後1年以上経過しているものも同様です。
   しかし、建築後2年未満程度のものについては、あえて「中古」と表示する必要はないとされ・・・さらには完成後1年以上経過している未使用の建物については、未使用であることを表示することは差し支えないとしています。・・・これらは、一般に「未入居○○」や「未使用○○」という表記で不動産広告などにおいて使用しています。
   ・・・そのため、確固たる「新築」と、「未入居○○」や「未使用○○」を除外したものを広く“中古物件”とし、区別して取扱っているということです。


   それでは、一般的な取引対象不動産である『住宅』を題材にして、本題のどちらを選ぶか?や留意点などの話に入ります。


   1.新築住宅と中古住宅の特徴は?
     ・・・新築は、設備面が充実、間取りプランなどの選択肢が豊富
     ・・・中古は、立地や環境面で優れていることが多い。そして概ねの地域・エリアで物件を探すことが可能


     ① 立地について
        一般的に、新築に比べ中古のほうが、駅などに近く利便性に優れていたり、周辺生活施設が充実していて住環境が整っていることが多いです。・・・これは、中古住宅の最大の利点とも云える話なのですが、一般にそれぞれの売主様の諸事情により個々の物件が売り出されている地域・エリアが、結果的に広範囲に亘っていることが多いためです。
        もう一方の新築の場合は、ハウスメーカーなどのいわゆるデベロッパーが事業として施工するものなので、ある程度の規模・環境面を有した立地でないと採算自体が取りずらいため、結果として、物件そのものの供給地域・エリアが限定されてしまう傾向にあります。しかし最近の動静として、一部の駅周辺再開発・区画整理プロジェクトや各地域ごとのまちづくりプロジェクトなどが活発に進められる場合など、それぞれの地域・エリアにおいて、すっきりと整った新築マンションが建てられるケースや新しい住宅開発分譲地などが販売されるケースもあります。
        ・・・ちなみに、まず土地を取得し、のちに住宅を新築(注文建築)する場合、そもそも住みたいと想う地域・エリアにおいて・・・現に売り出している土地があっても、まずそれを取得できる事がほぼ確実な段階にならないと現実に新築云々ということにはなり得ませんし・・・人気の高い分譲地などは、その消費者向けの販売価格や条件面において・・・事業者サイドが開発造成前の土地取得段階で元売主からの購入額が高値傾向である場合が多いという事など・・・採算上の理由のため・・・ある意味で当然なのですが・・・そこにはビジネス上の厳然たる判断基準が存在します。
        それと比較すると、中古住宅物件のほとんどの売主は一般の個人ですので・・・極端な話、現在住宅が建っている地域・エリアであれば、いつかはその地域・エリアで「中古物件」として売り出される可能性があると云えます。・・・ですから『子供を転校させたくない!』、『なんとか両親のそばに暮らしたい!』など、特に購入地域に対してこだわりを持つ方にとって、中古物件のほうが結果として適すと云うことができます。

     ② 建物の広さについて
        マンションの場合は、築年数が古いほど、その専有面積が狭くなる傾向があります。例えば首都圏では1980年代築のものは、専有面積が50~60㎡が多かったのですが、最近では70㎡以上が主流となってきています。
        これに対して、一戸建住宅は建築年代ではなく敷地の広さや用途地域などの建築制限によって概ねの広さが決まってくるため、“新築”と“中古”という違いによってその広さ(建物面積)が大きく異なることは少ないでしょう。

     ③ 間取りプランについて
        一戸建住宅・マンションともに、間取りプランのバリエーションは、新築のほうが豊富です。築年数が古いほど、その間取りプランが固定化され、LDKタイプではなくDKタイプが主流となる傾向があります。そのため、現在の消費者ニーズの多様化・生活スタイルの変化と、築年数が古い建物のままでの間取りプランが合致していないことも多々あるでしょう。ただし、中古物件はリフォーム工事を施すことで購入者が希望する生活スタイルに対応可能となってまいります。

     ④ 外観仕様について
        建物の外観仕様は、その仕上げの工法や色調など様々あります。一戸建住宅は“新築”と“中古”という区別に関係なく、個々の建築主の好みや建築予算、販売のしやすさ、その地域の建築・景観規制などが反映されます。(純和風・南欧風・北米風・ハウスメーカー型式・・・etc)
        また、マンションも同様でマンション事業デベロッパーによる分譲販売上の建設予算と販売のしやすさ、その地域の建築・景観規制などが反映されます。(タイル張仕上げ・パネル張仕上げ・塗装仕上げ・コンクリート打放し・・・etc)
        ・・・この外観仕様は、一戸建住宅・マンションいずれにしても・・・建築的に云うと、まさに屋根・外壁部分であり、風雨や地震力など建物外からの様々な影響による自然損耗や建物自体の劣化を遅らせるという重要な役目を担う部位なのですが・・・一般購入希望者の大半は、まず“その見た目”や“その住宅地の雰囲気にマッチングしているか否か”を優先視されると思います。それはそれでOKだと思います。
        ・・・建築時期にもよりますが、外観仕様とともに、その時期において一般社会や行政から要求される機能を有する建物を建築主へ引渡す義務は、まずは建築施工した業者にありますので。・・・これらの建物各部位に関して『具体的に知っておきたい!』と思われる方は、ぜひその物件を仲介する宅地建物取引業者や建築施工業者にお問い合わせ下さい。中古物件の売主である一般個人の大半の方は専門外となりますので。
        ・・・ちなみに中古一戸建住宅の場合、材質等にもよりますが購入後の屋根・外壁塗装工事などによって、お好みのデザインや色調に外観を変更すること自体そう難しい事ではありません。。

     ⑤ 住宅設備・内装仕様について
        住宅設備・内装仕様として、これまでも現在の消費者ニーズの多様化や生活スタイルの変化によって様々なものが改良されながら“住宅”という空間内に取り込まれてきました。
        現在では一戸建・マンションを問わず、新築時にビルトイン食洗機やリビング床暖房、子供部屋壁には落書きが消しやすい壁紙仕様としたり、住戸数の多いマンションでは防犯上の理由でホームセキュリティシステムなどを設置するケースも増えてまいりました。これらは、新築販売時に標準装備されているものもあれば、オプション仕様として追加工事(料金)となるものもあるので、注意しておく必要があります。
        中古物件では、欲しいと思う機能を持つ住宅設備などを後付けできる建物であるか否かがポイントとなるので、物件内覧時や内覧後に、その物件を仲介する宅地建物取引業者などに確認してみることが大切です。とくに問題がなければ、リフォーム工事を施すことで購入者が希望する生活スタイルに対応した、お好みの設備・仕様にすることが可能となります。(マンションの場合は管理規約等があるので、その範囲内に限定されます)

     ⑥ 物件のアレンジ・自由度について
        上記④・⑤と関連しますが、一般的に新築物件の場合はその物件を購入決定する時期によって、そのアレンジ・自由度は大きく異なってきます。比較的早いタイミングでの購入申込であれば、オプション設備やドア、壁紙のカラーリングなどの内装仕様を購入者の好みに応じて選択できるシステムが用意されていることも多いのですが・・・購入申込が建物完成後となると、当然事実上の制約が多くなり自由度は低くなります。
        ・・・また中古物件も同様ですが、その物件購入後においての新築一戸建住宅のリフォーム工事や、新築マンションでの内装リフォーム工事はその管理規約等の範囲内で可能ですが・・・現実にここまでされる方はほとんどいらっしゃらないと思いますので割愛させて頂きます。


   2.住環境・コミュニティなどはどう違う?
     ・・・新築は、分譲住宅・分譲マンションともに、住環境は物件よって様々
        コミュニティ面では、概ね新住民が集いやすいため、コミュニティ形成の際に溶け込みやすい(特にマンションの場合は管理組合などへの加入あり)
        但し、新築一戸建でもいわゆる「一棟販売」の場合は「中古」の場合と同様
     ・・・中古は、住環境そのものや、事前に物件周囲にどんな方がいるのかなどをある程度把握できる
        中古一戸建の場合は、地元の自治会への加入、マンションの場合は管理組合などへの加入あり


     ① “ご近所付き合い”に限ると・・・
        新築一戸建分譲地や新築分譲マンションでは、世代の近い家族がほぼ同時期に入居し暮らし始めることが多いため、子供はもちろん親世代も友人をつくりやすく、一種の安心感・連帯感などが得やすいと云える。
        中古一戸建や中古マンションでは、新築物件の場合と比べ、ある程度積極的に新たな人間関係をつくる努力(既に形成されているコミュニティに参加していく姿勢)が必要だが、物件購入前に隣近所にどんな方がいるのかなど、ある程度把握することができる。


   3.かかる費用はどちらがお得?
     ・・・新築は、中古と比較し・・・建物価格が高く、その建物部分に対し・・・ごく一部の例外を除いて・・・消費税が課税され、支払総額も高値傾向
     ・・・中古は、新築と比較し・・・建物価格などを含む支払総額がダンゼンお得。但し一部物件は建物部分の消費税がかかることもある


     ① 購入価格と建物部分(建物価格)にかかる消費税に関連して・・・
        購入価格は、一戸建でもマンションでも・・・立地や広さなどの条件が仮に同じであったとするならば・・・新築が高値・中古が安値となるのがごく一般的です。築年数が経てば経つほど、新築との価格差は大きくなってまいります。
        ・・・ですから、この一般的な“新築と中古の価格特性”に着目し・・・当初から『絶対、新築に限る。』と決めてしまわず、どちらにしてもほぼ同じ購入総予算を設定できる場合・・・あえて新築を選ばず・・・むしろ建物そのものよりも、住環境や立地条件・・・つまりは敷地となる“土地”のほうをより重視し・・・結果として・・・“程度の良さそうな中古”を購入、その差額相当分によって“こだわりのアレンジ”や、リフォーム工事を“思いっきり施す”といった“スタイル”もあります。
        ・・・このように“新築”と“中古”を比較検討する場合、購入者(消費者)視点で・・・まず気になる事は、取引する物件の建物価格そのものに“消費税”がかかるのか否かでしょう。この消費税相当分は・・・建物価格が1000万円の場合、8%で80万円、10%で100万円・・・建物価格が2000万円の場合、8%で160万円、10%で200万円・・・発想を変えれば、中古物件の“ちょっとしたアレンジ・リフォーム代金相当分”となり得ます。(・・・当然リフォーム代金等そのものの消費税はかかります)

        ・・・また、上記とは相反するようですが・・・中古物件の場合・・・いくら“中古”と云っても、しっかりとした管理等のもとに利用し続けてきた優良な物件などであれば、結果としてその資産価値をあまり目減りさせずに、新築との価格差にそれ程開きがでないこともあります。・・・このあたりが“中古物件は、それぞれの物件ごとで様々”と云える所以でしょうか。

           【再確認】 新築物件の建物部分(建物価格)には、ごく一部の例外を除いて、通常の場合に消費税が課税されます。また、中古物件の建物部分(建物価格)でも、その売主が誰であるのかという事によって課税される場合があります。(“消費税”について こちらを参考にご覧下さい)

     ② 住宅ローン返済額と毎月の支払い額・不動産購入時などの諸費用と資金計画のアドバイス
        新築と中古いずれでも、自己居住用物件を全額自己資金(現金)以外で購入しようする場合、○○金融機関の住宅ローンを組むことになりますが、同じ条件での借入れならば、住宅ローン返済額が“新築”“中古”の区別によって大きな差が生じることはありません。しかし、それ以外の費用は当然に個々の物件の管理状態などによって変わってまいります。
        特にマンションの場合には、原則として毎月出費する管理費や修繕積立金というものがあり、新築物件と比較し築年数が経った中古物件のほうが高くなる傾向です。(一部は別方式による物件あり)・・・新築販売(入居)から○○年後の調査や修繕計画で、当初の想定プランよりもオーバーし、工事内容・工事費等が実際には余計にかかる見通しとなり、居住途中に管理費や修繕積立金の金額変更がされるケースもあるので、当初からの全体的に余裕をもった資金計画がポイントです。(“不動産購入時にかかる諸費用など” についてはこちらをご覧下さい) (“資金計画のアドバイス” についてはこちらをご覧下さい)

       ・・・ここで、新築物件と中古物件の購入時物件価格の違いが、ローン完済時にどのくらいの差額が生じるか試算してみます・・・
        ・・・サンプルとしてどんなものが適当なのか迷うところですが・・・実際に比較的あるケースとして・・・新築住宅を土地建物で3000万円、中古住宅は程度が良いと云われる物件価格帯より土地建物で2500万円としました。また、その他の条件を揃えるため、中古物件の建物価格にも消費税が課税されているものとします。物件価格は税込み表示ということです。そして内外装リフォーム済で美観・機能とも、新築にさほど劣らないものとします。要するに売主業者物件です。・・・但し、あくまでも築○年後の“中古物件”という想定です。)


・・・ 新築と中古で、当初あった500万円の価格差が ・・・

⇒⇒⇒ 最終的な完済時には総返済額の差がなんと、約695.7万円!!
⇒⇒⇒ 当初の500万円を差し引いて考慮しても、実質約195.7万円の金利分負担増に!!


 

 物件価格

 頭金

 借入額

 月々の返済額

 総返済額

 新築物件

 3,000万円

 200万円

 2,800万円

 92,753円

 38,956,501円

 中古物件

 2,500万円

 200万円

 2,300万円

 76,190円

 31,999,983円

※金利2%(元利均等払い・全期間固定)、35年(420回)返済で試算


   4.実際に物件内覧したい時は?
     ・・・新築は、完成前ならモデルハウスやモデルルームなどを参考に。完成済なら中古と同様
     ・・・中古は、現物を確認して検討、購入できる


     ① 現地のご案内(内覧)
        新築は、モデルハウスやモデルルーム、建築工事着手前の現地、建築途中の現地などを担当不動産業者によって案内されることが多いでしょう。建売住宅の場合は、完成し売り出している物件は当然内覧可能です。そのほかにも、建築工事着手直後のものから、ほぼ完成間近となった物件まであるので、状況に合わせて見学・内覧できます。また、お目当ての物件が建築工事着手前だった場合には、同じ仕様の他物件を内覧することもあります。
        中古は、居住中物件でも引越し済物件でも、担当不動産業者とともに現地を内覧できます。但し、稀に売主側で予めリフォーム工事等を一定の期間行なう事もあるため、このような場合は担当不動産業者を通じて調整されることもあるでしょう。いずれにしても、特に中古の場合は、現地でのご案内と内覧、確認が基本のため、居住中または実際に使用経験のある方のお話なども聞くことが可能であり、取引中や購入後のトラブルなどを未然に防ぐ上で重要となります。

     ② 物件引渡し(≒入居)までの期間
        新築は、建物完成前に購入申込をすることも多く、不動産取引完了から実際に入居を済ませるまでには、相当の期間を要す場合もあります。例えば、完成済建売住宅以外の新築分譲住宅では数ヵ月後、マンションだと1年位後の入居も珍しくないでしょう。
        これに対して、中古一戸建住宅と中古マンション、完成済建売住宅は、売主側及び買主側双方の都合さえ合致すれば、スピーディな物件引渡し(≒入居)が可能となります。・・・一般的に、子供の入学時期に合わせるなどの引越しを急ぐ理由があったり、取引期間中や購入後のトラブルなどを懸念する方は、購入申込前に実物を見ることができる、これらの物件に絞って検討すると良いでしょう。


   5.現在の物件状況から将来を考える
     ・・・新築は、新しい地震対策などの技術を導入できる社会的チャンスあり
     ・・・中古は、特に、常日頃の使用法と管理が建物の寿命を左右する。また折を見て耐震改修などを施すことも可能


     ① 建物の地震対策
     新築の場合は、予定建築物に対してこれまでの施工建物(実績)に導入されてきた耐震などの“技術(概念)”のほか、最新の“制振(震の字ではありません)技術”や“免震技術”を取り入れられる社会的なチャンスがあり、やはり中古と比べ有利と云えるでしょう。
     ・・・しかし、中古であっても・・・昭和56年(1981年)の建築基準法改正によって耐震基準が大きく強化されて今日に至っておりますので・・・この年以前の建築物であるのか否かは当然として重要となりますが・・・仮にこの年以前の建築物であっても、そもそもの話として・・・折を見ての“耐震診断”や“耐震改修”することなども当然可能となる訳です。
     ・・・さらに最近では・・・そもそもの地震力を極力避ける目的で、3階建住宅程度の荷重建築物ならば、地震波の一種であるP波を瞬時に捉えることができる地震センサーを設置し、実際の地震発生時において、建物の基礎から建物一棟丸ごと空気の力(風船の原理)によって数センチメートル程度持ち上げてしまうという“『断震』なる技術(免震技術の一種)”も導入されてきています。・・・これをもってすれば、新築に限らず、個々の建物の間取りや工法・改修予算などの制約をクリアできれば既存の中古戸建などにおいても導入できる筈です。(“建物の地震に対する備え・・・「耐震」「制振」「免震」の特徴と違い”について はこちらをご覧下さい。)

     ② 地盤地質調査・地盤対策・長持ち度
     地盤地質調査とは・・・予定建築物に対して、予定敷地(土地)が充分な支持強度をもつ敷地特性(簡単に云うと・・・締め固まった、しっかりとした土地)であるのか否かを探るために行う土質調査や地耐力調査のことを云います。現在では、新築(分譲・建売)住宅のほか、注文住宅建築の場合でも、地盤地質調査をまず行ってから実際に建築に着手することが一般的となりました。実際には、そこの建築に携わる業者と関係のある別専門地盤調査会社に依頼することになるでしょう。・・・中古物件取引の場合には、ほとんど関係しないので割愛致します。

     地盤対策とは・・・建築物であるがゆえ、ある意味宿命的とも云える、その敷地(土地)に応じて施さなければならない工事のことを云います。・・・ですから、予定建築物に対して充分な支持強度をもつ敷地特性(簡単に云うと・・・締め固まった、しっかりとした土地)であった場合には、当然として不要となります。
     新築の場合は、特別な案件(建築予定の敷地上に取壊し予定の既存建物がある場合など)を除き、まず地盤地質調査(土質調査や地耐力調査)を行い、その結果によって対策が必要と認められる場合には、地盤改良工事などを建築計画に盛り込んだ上で実際に工事着手となる訳です。・・・必要な対策工事は、結局のところコスト的な“総建築予算”がクリアできれば、希望する間取り、構造等の建物が新築できることとなります。ですから、新築(分譲・建売)住宅や完成済新築分譲マンションの場合には、すでにこれらの過程をクリアして完成に至っている筈です。

     ・・・最近では、「長期優良住宅認定制度」も登場し、建物構造自体が頑丈に造られ、フレキシブルに対応可能な対策を当初から備えている新築物件は、この点で一般の中古物件と比べ有利と云えるでしょう。・・・但し、結局のところ・・・その建物が現実に長持ちするか否かは、常日頃の使用法と管理が大きく影響してきます。


     ・・・ちなみに・・・中古の場合は、現実に既存の建物がある訳ですので、その建物を内覧することなどによって・・・間接的となりますので、地盤対策とは呼びませんが・・・目視によって不具合があるか否かの、およその判断は可能ですし、非破壊検査等の方法によって建物のくるいなどを実際に数値的にも確認できます。・・・ですから、現在木造住宅など軽量な建物である中古物件を購入し、近い将来に鉄筋コンクリート造○階建などの重量建築物に建替えしようとする場合などは、これら目視や非破壊検査等の方法による結果を参考とし、かつ既存建物の取壊し直後に地盤地質調査(土質調査や地耐力調査)を行うこととなるでしょう。
      その建物の内覧時の状況を具体的に云うと・・・例えば・・・玄関に上がってすぐに過度な傾きを感じるとか、一部の部屋のドアがいわゆる“自動開きドア”になっているとか、庭や隣接地の地盤高さよりも建物全体が低いレベル(高さ)にあるとか・・・etc。・・・これらは概ねの場合、その地域や特定場所における地盤の軟弱層に起因するものがほとんどです。
     ・・・このような不具合が建物にあった場合、購入希望する方にとって最も重要なことは、購入後の具体的な暮らし方設計と総合的な判断なのでしょう。・・・人によっては『どうしても駅に近いこの物件のこの敷地でいい!』とか、『数年間はこのまま使用して、新しく地盤対策を考えた建物に建て替えるので構いません!』あるいは、『・・・軟弱ということは・・・大地震でも震源が遠く離れていた時には、あまり激しく揺れないということ?それでこの価格・・・それなら・・・でも“液状化現象”ってニュースで聞いたけど・・・対策を講じればいいのか?・・・』etc・・・物件を取巻く環境、中古建物そのもの、敷地、価格や総予算などによるご本人の事情や考え方は様々と云えるでしょう。
      中古マンションは、設計図書や大規模修繕の記録などで建物一棟の管理状況なども確認できます。
      また、中古戸建も中古マンションも、その建物が現実に長持ちするか否かは築後年数だけでは判断できず・・・やはり、それまでの使用法と管理そして購入後における常日頃の使用法と管理が大きく影響してきます。
     ・・・そして、中古物件市場全体においても住宅ストック社会に対応できる長持ち住宅(≒中古住宅)がさらに注目されてきている状況と云うことができますし、最近では、実際の検査と保証がセットとなっている「中古住宅の瑕疵担保保証保険」なども充実してまいりました。

     ・・・少し長くなりましたが・・・要するに・・・中古物件の最大の特徴は、地盤対策・長持ち度だけを考えてみても、まず現物を確認できるということ・・・そして、のちの暮らし方や具体的な対策を考慮しやすいということです。・・・そんなとき、ぜひ信頼のおける宅地建物取引業者にご相談下さい。それなりに経験を積み地域ごとで営業する業者ならば、きっとご本人が納得できる結論に導くアドバイスができると思います。(“建物の一般的なチェックポイント”について はこちらをご覧下さい。)


   6.あなたはどっち派?新築?中古?

     ここまで読み進んで頂いた方は、・・・なんとなく・・・あるいは、およその方向性を掴んで頂けたのではないでしょうか。
     このページでは、「新築」と「中古」を区別して記述してきましたが・・・実際のところ「新築」と云っても、高級仕様のハイグレード物件から単身者用の物件まで様々です。そして「新築」には、確かに誰も入居使用していないという最大の魅力があることも事実です。
     また「中古」にしても、店舗・事務所が併用になったものや二世帯住宅・三世帯住宅、あるいは完成後未使用の未入居住宅や築10年、築20年を経ていても、ほとんど古さを感じさせない中古物件まで様々です。・・・単に築年数だけで判断するのは拙速かもしれませんので、どんな物件でも一度実際にじっくりとご覧になる事をお薦め致します。
     購入価格だけを云うと、特殊な時期を除いては一般に中古物件のほうが割安でしょう。特に中古戸建では、築後年数がかなり経た物件となると、建物価格としては、ほとんど値がつかない(ほとんど土地価格と云って良い)ものまでございます。・・・ですから・・・上記と一部重複しますが・・・どちらかというと、その建物(古家)よりもむしろ、その敷地のほうを気に入って購入する方や、クラシックな古家そのものが気に入って購入される方もいらっしゃいます。また、新築を購入するより安い中古をあえて選択し、そこでの差額を自分好みの居住空間を造るためのリフォーム工事資金とする方もいらっしゃいます。・・・しかし、元の購入価格がいくら割安であっても、場合によっては過大なリフォーム工事の費用や、購入後の不動産取得税等の税金関係まで考えると、新築住宅より結果として割高となってしまうこともありますので・・・繰り返しとなりますが・・・どうしても迷われるような際には、ぜひ信頼のおける宅地建物取引業者にご相談下さい。それなりに経験を積み地域ごとで営業する業者ならば、きっとご本人が納得できる結論に導くアドバイスができると思います。
     これまでは、どうしても税制面で新築住宅が優遇される傾向が強かったのですが、日本の人口動静の変化がはっきりと社会に認識されるようになったこともあって、この市場のバランスを勘案しながら・・・その都度毎に、税制だけでなくローンなどの金融面でも対応していく動きもでてまいりました。したがって中古物件市場全体はこれからも活性化していくことになるでしょう。


   まとめ : 購入後の具体的な暮らし方設計と、物件状況や諸費用などを含めた総合的な判断が重要
         価格面では、新築に比べ中古のほうが実質的に有利となる場合が多いが、新築には新築の資産価値だけでははかれない魅力があることも事実
         「新築」と「中古」、いずれにしても無理のない資金計画と、自分自身が納得できるライフスタイルを築いていくことが重要