街並と天空   

『夢と夢をつなぐこと・・・』

それが私達のモットーです。
トータルプラン長山の仲介


近頃特に・・・「地盤!地盤?」と聞くけれど!?

地層と渓谷イメージ


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   ・・・そもそも土地購入した際などの“建物の地震対策”以前の話として・・・一般的な土地(敷地)の選定段階において・・・予定する建築物の用途や規模・形状等を構成する要素として、以下のような事柄が挙げられます。

   ① 周辺環境や立地などの物件状況・・・物件の周辺環境全般、接道状況、高低差を含む敷地形状とその面積
                            (物件地表面)・想定される建築物の障害となるような、大きな立木等の状況(本数・数量)
                                     ・不法投棄物など物件土地上にある所有関係不明な物(動産)        などに要する手間と費用

               ⇒ 但し、物件地表面の問題は・・・概ねの場合、売物件化する前に所有者側で適切に処理・処分して不動産市場に出すことが多いです。
                 稀に、状況が大した程度でなかった場合などには、不動産取引中に売主買主双方で話し合いの上、売買契約書内にその内容を反映させて現実的に取扱う場合もあります。
                 いずれにしても、購入者側での費用負担はあまり考慮しないことが一般的です。(・・・基本的に買主はその土地物件自体を購入したい訳ですので。・・・しかし、ごく稀に・・・物件上の立木などを買主側で有用、利用したいと云う場合には、逆に物件の付属物として定義してしまいます)
   ② 法規制    ・・・    用途地域や建ぺい率・容積率、道路斜線制限などによる外形規制、景観法・・・etc
   ③ 社会条件と経済コスト面・・・一般社会の認識変化やそれらに対する社会の取組み、需要と供給バランス、土地代金や建築費等を含めた総コスト(予算)

   そして、上記アンダーライン部分の〈土地代金や建築費等を含めた総コスト(予算)〉に大きく影響する可能性があるのが・・・
   ④ 物件地中内の状況 ・・・ 地盤、水位、地中埋設物、土壌汚染など
 です。

   土地売買の際には、上記①から③のような要素によって直に予定建築物の形態や規模を左右する事柄については注目しやすいのですが・・・実際に目視できない、地面の数メートル下・・・地中の話となると・・・正直分からないとか、そもそもの情報がごく少ない、有ったとしても物件そのものでなく周辺地域の間接的なデータのみというのが一般的です。
   しかも、土地の取引上は、所有者(売主)の知り得ない・売主の責めに帰すことのできない事案に対しての“売主の瑕疵担保責任は免責とする”売買契約が一般的なのです。

   ・・・しかしながら、このような状況下のままで・・・全く何も想定しないで事を進めていると・・・結果・・・地中の障害物や障害状況が現実に出てしまうと、その撤去や工事の費用として“想定外の出費”が発生し、最悪の場合・・・工事ストップの危機に陥ってしまいます。
   そのため、現実には建築工事等の着手前に・・・土地買主である施主と建築業者(ハウスメーカー)が締結する“建築請負契約書”内の特約(特記)事項欄に・・・「地中障害物や障害状況があった場合には別途精算するものとする」といった条文を入れるようになったり、そもそも建築請負契約締結前に、建築希望者(施主さん)に予め初期(地中内調査)費用の負担をお願いし ⇒ 調査実施 ⇒ 調査結果により精度の高い見積書提出 ⇒ 建築請負契約締結。 といった手法がとられるようになってまいりました。
   また、住宅ローンなど融資の場合でも、資金計画(ローン申込内容)にある程度の余裕があることが前提となりますが、各金融機関のほうで柔軟的に対応されるようになっています。
尚、環境問題に対する社会的な意識変化により、土壌汚染などについての関心も高まってきております。(土壌汚染対策法:平成15年2月15日施行)


   ・・・ここまで序文としては、いささか長文となった感がありますが、上記④“地盤”などについて記述したいと思います。

   【1】 地層について
      ① 地層の成り立ち

        「地層」は、山肌の岩などが雪解け水や雨水により削り取られて“土砂”となり、川によって湖や海へと運ばれ ⇒ それらが湖底や海底に積もり続け、悠久の時(とき)を経ることによって“層”を形成したものです。
        それら運ばれるものの中には、植物や動物の遺骸などの有機物なども含まれます。昨今、建築業界で“食べられる健康材料”として注目(・・・昔から土壁の材料として使われていたので見直されてきたと云ったほうが良いかも知れません)され、室内の仕上げ材に利用されている「珪藻土(けいそうど)」も、珪藻という太古の微生物が、云わば大量に“化石化(かせきか)”し、堆積したものです。
        また、火山活動の噴火に伴ない火山灰が広範囲に飛散し堆積したものや、山肌に降り積もった火山灰などの噴出物が“土石流”等により移動・堆積し、地層を創ることもあります。
        これらの地層に、地球内部から何らかの力(地殻変動や火山活動)が作用すると、隆起やしゅう曲が起こって山や島、台地などを創ります。
        新しい地層と古い地層の境界面や、過去に引き伸ばされた地層、逆に圧縮されて続けられ限界点を超えた地層など、それらの層同士に連続性や密着度が少ないところが、いわゆる“断層”となります。これが大きくズレることによって地震が起こると、直上の地域などでは被害が大きくなる傾向があります。

地層イメージ



      ② 地層の構成
        地層の断面は、土や砂の層が幾重にも重なり、“しま模様”を形成しています。それら一層一層を「単層」といい、その単層と単層の境界面を「層理面」といいます。
        この「単層」が、建築物の基礎部分を敷設する際、現実に敷設する位置を決めるための“モノサシ(基準)”となり、予定建築物の設計荷重(かじゅう=重さ)を支える為に充分な耐力がある層のことを「支持地盤」といいます。
        尚、それぞれの単層内部は、通常ほぼ同サイズの粒から成っており、その層の厚さは数センチメートル~10メートルを超えるようなものもあります。
        地層を構成する粒を「砕せつ物」といい、その粒子のサイズによって分類します。粒子の細かい順に「粘土」、「シルト」、「砂」、「礫(れき)」となります。
        ※「シルト」とは・・・イメージし易いよう簡単に表現すると・・・土の中の粒子が、「粘土」より大きく「砂」より小さい粒径の土粒子のこと。(数字で表すと・・・日本では、粒の直径が0.005mm以上で0.075mm未満) ちなみに、「シルト層」と云うと・・・これまた誤解を恐れず、簡単に表現すると・・・その「層」の土質が、粘土ほど粘り気が無いけれど、砂ほどの粒子サイズがなく、さらさらしていない・・・粘土と砂の中間ぐらいの性質をもつ土層のこと。


   【2】 土壌と地盤について
      かの「古事記」では、古代日本の“原風景”の一つとして「豊葦原の瑞穂の国(トヨアシハラノミズホノクニ)」と記しています。
      ・・・これはこれで端的にイメージできるように表現されており、葦などの水生植物が繁茂し、稲作などが適した豊穣な大地であったことが容易に窺えると思います。
      ・・・稲作だけでなく、葦や萱などの水生植物なども、当時の小屋的住居や穀物倉庫など、それぞれの屋根部分や室内空間、日常の道具として幅広く利用され、まさに“自然の恵み”と云える光景だったのではないでしょうか。
      しかし、農耕に適した土地は・・・水分・養分なども多く・・・一般に“軟らかな土壌”です。・・・古くから人々が暮らししていた土地でも、現代の建築物等を支えるとなると・・・“様々な課題を抱えた土壌”とも云えるのです。

      「土壌」とは、地表の岩石が風化等により崩壊して形成されるもので、腐植物などを含んだ農耕に適する地質のことで・・・云わば土地の成分的な分類となります。

      一般的に・・・“地盤”は、古ければ古いほど、長い間押し固められることによって“固い層”となります。一方の新しい地層は、軟らかい粘土や砂で構成されているのです。
      日本の「平野(へいや)」と呼ばれるエリア上の大都市は、比較的新しい沖積層(ちゅうせきそう)≒軟弱土 にあると云えます。
      ・・・井戸の掘削や地中内調査を行って、地下に分厚い「砂層」が出てくるということは・・・そこが太古の昔・・・海や海岸付近であったことを物語っているのです。


      「地盤」とは、建築物を含んだ構造物などの外力(荷重)を負担する地殻の最表部の層のことで・・・云わば土地の力学的な分類となります。


    (1) 歴史(地歴)・地中埋設物・土壌汚染・造成地のがけ崩れ
      地層はこれまでも、地殻変動や火山活動、気候現象などによって様々な形に変化してきましたが、歴史的に観ても解るように“人の力”によって大きく様変わりしたところもあります。農耕や治水などでは、古くから自然地形・環境を上手く利用してまいりましたが・・・残念ながら、都市形成や経済発展に伴って生態系まで影響を及ぼすような土壌に関する問題(環境問題)なども過去に起こりました。
      ① 古地図や古い不動産登記から、その土地を“読む”
        土地の利用にも、それぞれ様々な歴史があります。私達は「地歴」と呼びますが、現在の地表面や植生状況などだけでは、その土地が元々どのような形質であったかを完全に把握することは困難と云えます。その土地が、かつてどのような状態であったのか、どんな利用方法であったのかを詳しく探ることも、「地盤」を把握する上で重要となります。
        歴史のある町や、東海道とか中山道など古街道沿いの・・・旧宿場町などの郷土資料館や地元の図書館・歴史館などに行くと、たいてい「古地図」を見つけることができます。
        また、新興住宅地などであまり古い歴史はちょっと・・・というところの方は、地元の法務局に行って・・・既に閉鎖されてる(旧不動産登記法が改正され現行法移行時点で閉鎖されたのですが、旧公文書にあたるので有料で自己調査することが可能)・・・旧不動産登記法上の登記簿などで遡ることが可能です。但し、旧不動産登記法が明治32年(1899年)公布ですので・・・平成27年(2015年)時点として・・・大雑把に云って・・・約117年前ぐらいまでの記録となります。
        いずれにしても、上記の資料(史料)と現在の土地利用状況を照らし合わせて視ることで・・・地表面だけではなく、地中内の目には見えない部分が、薄々と解ってくることがあります。
        そしてこれまでの、その土地やその地域の歴史(災害等も含む)を把握することによって、地盤に関する障害予測に役立てたり、トラブルを未然に防ぐことが期待できるのです。


古地図イメージ



        ・・・古地図には、「地盤」を知る手掛かり的情報が散りばめられています。まず第一に、購入土地の過去の姿を浮かび上がらせる為に、近所の神社仏閣の位置を捉えましょう。・・・時代の流れにより、その境内地が狭くなっていたとしても、これらの中心部分(社・お堂など)は、昔からほとんど変わらない位置にあるのです。さらには、そもそも洪水などの影響を受けにくい、比較的しっかりした地盤を先人達が経験的に予測して建てていることが多いからです。
        ・・・神社仏閣以外でも・・・昔からある河川や池など当時と現在に共通するランドマーク的なものを、とにかく見つけることです。・・・その際の注意点としては・・・東西南北の方向を見誤らないこと。現在の一般的な地図は、北を上方向に据え置いて描かれているか、方角マークを入れ結果的に東西南北を捉えられるようにしてありますが・・・昔の地図は、その地図作製の目的(利用目的)によって描き方がそれぞれ異なっていますので。私(筆者)の経験上では・・・江戸時代作製の古地図が多いため、家や屋敷に向かって正門側に「○○○○○」と、家主名や主人名が記載されているケースが多いとは想いますが・・・とにかく、じっくりじっくり眺めて、漢字部分も判読できるところを探して・・・。
        ・・・古地図などを基に・・・購入土地と地域の過去の姿をイメージできたら、等高線など別の情報が入っている現在の地図と見比べ・・・昔の地形(地勢)や河川の流れなどと現在の姿がどれだけ変化しているか確認できると思います。
        ・・・こうすることなどによって、『この時代の街道沿いの集落ならば・・・比較的丈夫な地盤かな?』とか、『河川の流れがこうだから・・・地中では地下水はこっち方向に?』、『むむっ!気にかかる池があったぞ!・・・地中は軟弱か?・・・地下室はやめておこうか?』などと、3次元的に把握しやすくなるのです。・・・さらに『・・・どうしても地下室造りたい・・・』という方は、事前に専門家に相談しておいて、地中内の地盤等に関する対策案を絞り込むこともできる訳です。


        日本の場合、急峻な山岳地域や離れ小島などを除く、たいていの平野部には、古代人のなんらかの痕跡(縄文・弥生時代の集落跡や貝塚跡、古墳群など)が各地に残っています。・・・これは、単純に古代人にとって良い住環境であった場所に暮らしたことを物語っている訳です。・・・ですから、地元の教育委員会によって把握済の「周知の埋蔵文化財包蔵地」指定されている土地以外の土地(未開発地)であっても、未だ発見されていないだけということなので・・・
        さらには、本州に限って云うと、概ね酸性土壌であるため、そもそも遺跡や遺構が地層内に眠っている(保存されている)としても・・・状態としては、土器や礎石などで判断できるわけでして・・・古代人の社会構造や風俗を知る上で重要となる“金属製の遺物など”は残りにくいのが実状です。
        そんな状況下、何も想定せずに工事着手し・・・郷土史的に貴重な遺跡や遺構がもし出てきたら・・・発掘調査のために相当な期間、予定の工事はストップされますし、その発掘調査費用も原則として土地所有者を含む開発事業者等負担となるのです。・・・とにかく、徹底的な調査をしておくことに越したことはないと思います。

      ② 都市計画図から、その土地を“読む”
        ・・・土壌汚染等の可能性の有無を把握する上では・・・各種の古地図では、古すぎてかえって解らないはずです。・・・ここ40年ぐらいの地域の状況を把握するためには、都市計画図を調べると良いでしょう。
        都市計画法による用途指定は、これまでに計画変更された地域もありますが、そもそも当初の用途地域指定時点に現存した用途の施設を優先的に含めて決めていった経緯があります。
        ・・・ですから、当初はある程度のまとまった工場群があって「準工業地域」指定されていたにもかかわらず・・・これもまた・・・時代の流れと申しましょうか・・・現在では適合する工場が1箇所であるとか、ゼロとなってしまい・・・現在その辺りを見渡すと、アパートや住宅ばかりとなっている地域もあります。
        ・・・これは、現在の都市計画図と現況によって・・・かつて何らかの工場があったことが推測できるという事例です。・・・ちなみに私共では、計画変更され現行の都市計画とは違ってしまった・・・以前の都市計画図も“史料”として極力保管するようにしております。

      ③ 造成地のがけ崩れと不同沈下
        近頃、社会問題化している土壌汚染や造成地のがけ崩れなどに対処するためには、その土地やその地域が開発前にどのように利用されていたかという事と、どんな状況(地勢)であったかを探る必要があります。
        これまで、がけ崩れなど発生していない地域でも、周囲の山間部の植生が何らかの理由で変化したため・・・山肌部分の土壌保水率が低下し・・・急な豪雨等に耐える限界点を超えた瞬間に崩れる場合もあります。
        また、造成地での不同沈下などは、元の地形(地勢)や、そもそもの工事時期や内容が適切だったのか否かということや、いわゆる埋立地の工事ですと・・・そこに使用した土砂の種類などにも関係します。(埋立材料選択の問題)

        土は、そもそも細かな粒子が集まって構成されており・・・粘土質土は、その“粘着度”によって地層・地盤を形成し、砂質土は、その“内部摩擦角”によって粒子が互いに繋がっています。ですから、これらの粒子が互いに結びつこうとする力の限界を、何らかの理由によって超えてしまうと、“崩落”ということになってしまうのです。・・・この何らかの理由とは・・・地層や土質そのものに作用する地震や地層内含水率など“外的な力による変化”の事です。・・・先の東日本大震災でも、これらが原因と考えられる造成地擁壁の崩壊がありました。


    (2) 地盤の構成・・・土質・地耐力・水位
      ① 土質
        日本の場合、歴史的に視ても比較的低地に大都市が発展してきております。特に近代からは、これら都市部への人口集中により都市近辺の山沿いや台地なども造成され宅地開発が進んでいます。
        しかし、そもそも低地と山沿いや台地などでは、当然に土質が異なるのです。


        例えば、東京臨海副都心の「お台場」など、人工的に埋め立てられて開発されたところを別にすると・・・現代の台地は・・・比較的平坦地で、周辺部より一段高くなっています。そして、そもそも台地は、比較的浅い海底であったところが地殻変動により隆起し形成されたもので・・・「洪積(こうせき)台地」と呼ばれています。
        ・・・平坦であり、その地層の連続性が良いことから、建築物等の基礎部分を支える地盤として適しているのです。(洪積層≒良質土)

        一方で・・・山から流れてきた土砂が河川や海の力によって堆積して形成されたところを「沖積(ちゅうせき)低地」と呼び、比較的軟弱な地盤が多いと云えます。
        また、過去の富士山大噴火に伴う噴出火山灰が、当時の気象条件(風など)により関東各地に運ばれ、降り積もって形成された地層を、一般に「関東ローム層」と呼びますが・・・当然にその噴源に近づくほど、形成される地層の“層の厚さ”は厚くなり、その“土の粒子”のサイズは大きく、粗くなります。
        ・・・この「層厚」は、東京付近では約5メートル程度ですが、御殿場付近では100メートルを超えるところもあると云うことです。
        そして、このローム層をその支持地盤とすることが多い・・・関東地方の低層建築物等(設計荷重が軽いもの)にとっての「土質」は・・・その構成土粒子同士間の結合力は強いと云えますが・・・一旦これら粒子間の結びつきが乱されると・・・その強度が著しく低下してしまうといった弱点があります。

地盤調査イメージ



      ② 地耐力
        建築物等の耐久性を検討する上で、最も重要なポイントとして云えるのは・・・何よりも、その予定敷地の地盤が頑丈であるか、予定建築物等の設計荷重に耐え得るか否かです。
        地中の地盤が予定建築物を支えられないと、地震などを心配する前に、建築物自身の重さによって傾いたり崩壊してしまうからです。
        ・・・このように、地盤が上部建築物等の構造物を支えるために持つ耐力を「地耐力」と呼びます。
        また、「地耐力」はその土質によってそれぞれ異なっており、「その地耐力」によって、その上部に築造することになる建築物等の基礎部分についての設計・施工方法、費用などが変わってくるということとなります。


      ③ 水位(孔内水位・常水面・帯水層)
        地中を掘削すると、ある深さの部分から水が湧き続けてしまうことがあります。・・・この、ある深さの部分を・・・「孔内水位」、「常水面」、「帯水層」などと呼びます。
        これまでも“我々の暮らし”にいろいろと貢献し続けてくれている「地下水」そのものや「地下水位・地下水脈」のことですが・・・この地下水位などもまた、建築物等を施工する際には“厄介者扱い”される場合があります。
        ・・・水が湧き続けてこなければ・・・建築物等の工事などもし易く、コンクリート基礎打設後の防水工事の心配も無いのですが・・・

        ・・・実際に、地下室工事などがある現場で・・・ある箇所から水が湧き続けてしまうと・・・ポンプなどで機械的・強制的に、その水量を汲み上げ続け ⇒ どこか別の場所に流さなければならなくなります。
        ここまででも、施主さんにとっては“想定外の余計な出費”なのですが・・・この、どこか別の場所・・・「放流先」と云いますが・・・とりあえず下水処理場へと繋がっている前面道路内の側溝しかない・・・
        ということになりますと・・・・・・下水道料金についての支払義務も発生してしまいます。

        ・・・実際の工事において、これら「地下水位・地下水脈」は本当に厄介な問題です。工事のし易さ・し難さは・・・即、全体の工事費に影響します。その土地の地下水位や水脈が、新たに判明したことで・・・水が湧き続けている状況を回避するための対策工事・・・いくつかある工法のなかから適切な工法を選択し・・・という具合となります。
        さらには、その湧き続ける水を大量に抜いてしまう(放流してしまう)と云うことは・・・予定敷地周辺の地下環境に影響を与えてしまうこととなり・・・結果、周辺の建築物等を沈下させてしまう危険性を伴うことになりかねない訳でして・・・
        とにかく、建築土木業者選定そのものにも関わりますが、施工実績や実際の対応など信頼のおける業者に依頼しましょう。また、具体的に選択する施工方法(工法)に関しても、慎重に検討することが特に必要となります。


        予め「地下水」に関して技術的に調べる方法・・・「地下水位調査」では、実際に・・・帯水層の分布と帯水層の透水性を測定することとなります。

      《まとめ》として
        「地下水位・地下水脈」に関して・・・繰り返しとなり恐縮ですが・・・実際の水位・水脈がどのようになっているのか?・・・が、工事中もさる事ながら完成後においても大問題となってしまう可能性があります。特に国土の大部分を山間部で占め、年間降水量・降雪量の多い日本の場合・・・結局のところ・・・「建築物等」は「水」との“せめぎ合い”と云ったところです。実際に「水処理をどのようにするのか?」は、総建築費のみならず、それらの維持費や耐久性そのもの、さらには周辺環境にも影響を与えるほどの重要なポイントです。

        ・・・ちなみに、上記① 土質内の「沖積低地」ですが・・・別ページでまたの折にでも詳しく触れたいと思いますが・・・粘土質の「圧蜜沈下」や砂質の「液状化」など・・・皆さんが一度はニュースで聞いた事のあるワードでしょう。・・・これらの現象にも、「水位」が深く関与しております。
        ・・・また、昨今解ってきた事ですが・・・私達のいる地表からかなり深く地下にもぐった、断層面同士やプレート同士の境界面にある・・・「アスペリティー」(通常は強く固着しているが、地震が起こった際に大きなすべりを生じ、震源域となって強い地震波を出す部分)と呼ばれる箇所にもまた・・・長い時間をかけながら、この「地下水」が滲みていって・・・そこに流動性を与え(摩擦力を減少させ)たため・・・阪神大震災などの「断層型(直下型)地震」を引き起こしたのでは? と視られているのです。